第三十三計 敵の間者(スパイ)を利用せよ
「疑中の疑は、之れをみずからの内に比えれば、みずから失わざるなり」「反間計」とは、敵軍の間諜を買収したり利用したりして、自軍のために利用する計略である。」
時代背景
九〇七年、華やかな唐が滅亡したあとの中国は、華北中原には五王朝が、その他の地方では十前後の国が興亡を繰り返すことになった。この分裂時代を五代十国ど呼ぶが、これを九七九年に統一したのが宋である。宋は元に滅ぼされるまで約三世紀にわたり続いた王朝だが、一一二七年に遼を滅ぼして侵入した金による靖康の変で、それまでの宋(北宋)はいったん消滅する。本計の例話の南宋は、その変の直後に皇帝の弟の高宗が再建したもので、秦嶺・淮水の線で金・モンゴルと対峙して元に滅ぼされるまで続いた。宋は文治主義の君主独裁制で弱兵であったため、遼・西夏・金・モンゴル帝国に華北を侵され、歴代統一王朝のうち、もっとも狭い領域を保った王朝である。
岳飛、敵間諜を使い盗賊を降伏させる
疑陣の中にさらに疑陣を配し、勢いに乗じて敵軍の間諜を自軍のために働かせれば、自軍の戦力を温存して勝利を勝ち取ることができる。