第十四計 屍を借りて魂を還す
「用有る者は、借る可からず。能く用いざる者は、求めて借る。能く用いざる者を借りて之れを用いるは、われ童蒙に求むるなり」 「屍を借りて魂を還す」とは、利用しうるあらゆる力を利用して、自分の意図を実現する計画である。」
時代背景
紀元前二〇二年、梟雄・項羽を破って漢朝を創立した高祖劉邦は、その直轄領が黄河中流域以西にすぎなかったので、長沙王呉芮以外の異姓の諸王(楚王韓信、燕王盧綰、梁王彭越ら)を次々に滅ぼし、その後に劉氏一族を配置して、漢朝の基礎を固めた。しかし劉邦の死後、権力を一手に握った皇后の呂后は、各地に封ぜられた劉氏一族の王の権力を弱めようと考え、その手始めに斉王の劉沢の軍権を剥奪した。本計の例話は、この劉沢が策士の田子春を使って呂后から軍権を奪い返した経緯を述べたものである。
斉王劉沢の軍権奪回戦術
才能のある者は、利用することができない。才能のない者は、助けを求めてくる。才能のない者を利用するというのは、才能のない者に助けを求めることではなく、才能のない者が助けを求めることなのである。