第三十二計 空城の計をめぐらせ
「虚なれば之を虚にし、疑中に疑を生ぜしむ。剛柔の際、奇にして復た奇なり」「空城の計」とは、虚々実々の手段で敵軍を惑わし、敵軍の攻勢をやめさせたり、無にしたりする作戦である。」
時代背景
本計の例話の主人公は諸葛孔明(諸葛亮)である、孔明は七回北征を行っている(異説あり)が、馬謖が命令違反をして街亭で敗れたために撤収したのは二二八年五月である。ことわざにも「泣いて馬謖を切る」があるほど、この故事は有名だ。この北征の撤退に際し孔明は「空城計」をめぐらしているが、街亭の位置が漢中に近いため蜀軍の撤退は困難を極めたようだ。漢中から胃水河谷に出る道は、第八計「暗渡陳倉」で述べたように、標高四千メートルの秦嶺山系の踏破が必要だ。名将孔明の北征失敗もこれに起因する。
孔明、空城計で虎口を脱す
兵力が手薄な場合には、故意に兵力が手薄なことを敵軍に見せ、なにか策略を巡らしているのではないかと疑心暗鬼に陥らせる。敵軍が優勢な緊急事態にこの作戦を行えば、その妙はいっそう計り知れない。