第十計 笑いの裡に刀を蔵す
「信にして之を安んじ、陽は以て之を図り、備えて後動き、変有らしむる勿れ。剛中柔外なり」「笑いの裡に刀を蔵す」とは、表面は友好的であるかのように装い、ひそかに戦備を整え、時機が到来したら、戦備を整えるのを怠った敵軍の不意をついて打ち破る計略である。」
時代背景
本計の例話は、周王室が東遷(都城を西安近傍の鎬京から成周〈のちの洛陽〉に移転した紀元前七七〇年ごろ)したとき、これと行動をともにした鄭の武公は、周の平王の卿士として活躍したが、この武公が胡族(中国人が北方の異民族を蛮夷としてよんだ語)を降伏させたときの計略である。すなわち初めは友好的であるふりをして胡王を油断させ、好機をみて胡族を滅したのである。
鄭王、友好を装い胡を滅ぼす
敵軍を安心させて油断させ、ひそかに策略を巡らし、十分に準備を整え、時機が到来したら、機を逸することなく出撃し、敵軍の不意をつく。闘志は内に秘め、外は柔和を装う。