第十五計 虎を調き山を離れさす
「天を待ちて以て之れを困させ、人を用いて以て之れを誘い、往けば蹇み、来たれば返る」「虎を調き山を離れさす」とは、戦闘において、有利な地勢にいる敵軍を誘きだして殲滅する計略である。」
時代背景
主人公は三国時代に江南に王朝を建てた呉の孫策である。孫策とは、「赤壁の戦い」で劉備軍と協同して魏の曹操を破った呉の孫権の兄のことである。この例話は、孫策が父孫堅の遺志を継いで江南(現在の長江下流の南京、上海、杭州一円の地域)を統一するときに用いた計略だ。すなわち江南統一の癌は盧江(現在の舒城)に盤踞する劉勲であった。そこで孫策は調虎離山の計を用いて劉勲を上繚(現在の南城)に出撃させ、もぬけの殻となった盧江をまんまと略取して江南を統一したのである。
孫策、劉勲を調いて盧江を奪う
敵軍を不利な地勢のところに誘き出し、包囲して疲労困憊させ、敵軍に進攻するのが危険な場合には敵軍が進攻してくるようにしむける。