第十三計 草を打って蛇を驚かす
「疑いを以て実を叩き、察して後動く。複せば、陰の謀あるなり」「草を打って蛇を驚かす」とは、敵軍が潜んでいるところで意識的に小さな軍事行動を起こして敵軍の反応を偵察し、敵軍の陰謀や謀略を暴く作戦である。」
時代背景
本計の例話は、諸葛孔明が行なった第四次北伐の際における撤退時の駆け引きだ。だが、主人公は諸葛孔明ではなく、対戦相手の魏の司馬懿(字は仲達)である。孔明は胃水河畔の祁山に軍を進めた。司馬懿は持久戦に持ち込む肚だったが、配下の部将たちの突き上げを抑えきれず攻撃命令を下したため戦うたびに敗れた。しかし呉の軍勢が蜀の本国に侵攻してきたとのしらせに孔明は、救援のため引き上げを開始した。魏の諸将は即刻追撃を進言したが、孔明の智略を熟知している司馬懿は、部将張郃に五千の兵を与えて孔明の撤退を探らせた。この結果、張郃軍は孔明の仕掛けた罠にはまったものの、魏の本軍は被害を免れた、張郃軍はさしずめ、「打たれた草」ということになる。
司馬懿、草を打ち孔明の陰謀を知る
敵軍の行動が疑わしい場合には、徹底的に偵察してから行動を起さなければならない。偵察を繰り返さなければ、敵軍の仕掛けている罠は発見することができない。