第二十計 水を混ぜて魚を摸る
「其の陰乱に乗じ、其の弱にして主無きを利して随わせ、以て晦きに向かいて宴息に入る」「水を混ぜて魚を摸る」とは、敵軍が混乱に陥ったとき、機に乗じて自軍の利を計る作戦である。」
時代背景
本計の例話は、赤壁(現在の湖北省嘉魚県の西南部、長江の南岸)の戦いのあと、荊州の帰属をめぐって争った魏軍と呉軍の間にあって漁夫の利を占めた劉備軍(諸葛孔明の策による)が、待望の固定地盤・荊州をもつことになった経緯からとったものである。荊州は現在の湖南省と湖北省を併せた地域である。孔明が漁夫の利(利を求めて争っている当事者で無い第三者が利益を得る)を得た手法は簡単である。当時、中国ではある地域を獲得するには、そこにある城塞都市(城壁で囲まれた住宅地)を占領すればよく、孔明は魏軍と呉軍が戦いに夢中になっている隙を突いて南郡(江陵)を奪ったのである。
趙雲、混乱に乗じ南郡を奪う
敵軍の混乱に乗じ、其の弱小な戦力と定見の無さにつけ込み、自軍の思いどおりに引き回し、時機に応じて食事や休息をとる。