第二十八計 屋根に上らせて梯子をはずす
「之れに仮りるに便を以てし、之れを唆して前めさせ、其の援応を断ち、之れを死地に陥す」「屋根に上らせて梯子をはずす」とは、敵軍を自国に深く引き入れて、その補給、援護、退路を断って殲滅する作戦である。」
時代背景
劉表は前漢六代景帝の子、魯の恭王の末裔である。若いころから儒者として知られ、のちに荊州(湖南省の常徳市を中心とする地域)の刺史(司令官)に任命された。しかし当時荊州は群小豪族が割拠して命に服さず苦労したが、これを荒療治で統制し、ついに十万の兵をもつにいたった。そのころ袁紹と曹操が戦った官渡の戦いがあった。部下たちは曹操に味方せよと進言したが、優柔不断の劉表はためらい出世の機を逸した。彼は次子の劉琮を愛し、長子の劉琦を遠ざけたため後継者争いが生じ、このため十五年間苦心して経営した荊州は彼の死後、劉琮の代に戦うこともなく曹操に奪われてしまった。本計の例話は身の危険を感じた長子劉琦に、諸葛孔明がさずけた避難策である。
孔明、劉琦に護身策をさずける
自軍の欠陥をわざと敵軍に見せ、有利であるかのように錯覚させ、自国に深く引き入れて、物資の補給、後方支援、退路を断った後、兵力を集中して殲滅する。